オーダーメイドの注文住宅で、値引きをしてもらうことなんて可能なの?
と疑問に思ったことのある人もいるかもしれません。
2022年8月にTwitterにて独自にアンケート調査を実施したところ、
注文住宅購入の際に「値引きがあった」という回答が全体の70%以上となりました。
また、パナソニックホームズの8名のオーナーさんにLINEオープンチャットで値引きに関して聞いたところ、全員値引きがあったとの回答でしたが、値引き率は8~16%と人によりばらつきがありました。
詳しくはこちらから
建築先にもよりますが、注文住宅を建てようとする際
- 多くの人は値引きを受けている
- 値引き率は人によってばらつきがある
というのが実態のようです。
けれど、実際には値引き交渉はどのようにすればよいのでしょうか。
今回は、失敗しない値引き交渉についてを、大手ハウスメーカーの元営業管理職の方から学びたいと思います!
お話を伺った方|株式会社Nagimaru代表:なぎまるさん
お話を伺ったのは、株式会社Nagimaru代表のなぎまるさんです!
なぎまるさんは
- 元大手ハウスメーカー営業リーダー
- 2022年に独立し株式会社Nagimaruを設立
- 現在の仕事内容は不動産仲介業、賃貸経営、住宅営業コンサル、不動産営業ツールの作成など多岐にわたる
- 住宅営業向けのオンラインサロンを運営
- YouTubeチャンネル運営(登録者3.5万人)
- Twitterはこちら
という方。
これまでの経験などを交え、値引き交渉についてわかりやすく説明していただきました!
なぎまるさん、よろしくお願いします!
よろしくお願いします!
値引き交渉の方法
先ほどのアンケートの結果を見ても、注文住宅を建てる際に値引きをしてもらっている人は多そうです。
値引き交渉には効果的な方法があるのでしょうか。
お聞きしていきます!
値引き交渉は自らした方が良いのか?
まずは、値引きは自らお願いした方が良いのか?をお聞きしました!
値引きをして欲しいと、
自分から言った方が良いでしょう。
…というのも、値引きというのは「言い出さない人にはしない」という不公平な仕組みだからです。
値引き交渉は、自分たちからする必要がある!
苦手な人にとっては言い出しにくいことではありますが…
交渉しなければ値引きなしで話が進んでいってしまうかもしれません
値引き交渉をするタイミングは?
では、値引き交渉はどのタイミングですればよいのでしょうか?
タイミングは難しいです。
早すぎると、それを考慮して最初から上積みされた見積もりが提示されます。
かといって契約後(契約書作成後)では遅いです。
ざっくりですが、一度見積もりが出るまでは何も言わず、見積もりが出た後に言ってみる感じかもしれないですね
ここでいう「見積もり」とは、概算ではなく
✅本体工事
✅地盤改良や水道引き込み
✅諸費用
✅外構
などの細かい見積もりだそうです。
しかもこれらが、”活字”で出てきてからが良いそうです!
手書きの概算は人によって多めに書く人や少なめに書く人もいるので、その時点で交渉してもあまり意味がないです
とのことでした!
値引き交渉のタイミングは、
一度詳細な見積もりが”活字で”出てきた後が良さそう!
値引きを引き出すコツとは
注文住宅における営業マンの重要性は「予算管理」
注文住宅に関わる実務者の方々の役割は、大きく分けると
【間取りやデザイン】設計、インテリアコーディネーターなど
【建物の構造や安全性】設計、現場監督など
【お金に関すること】営業
とのこと。
住宅営業マンはお客さんとの最初の接点であり、プロジェクトのリーダーのような役割を持ちます。
そして、その営業マンの最も大切な役割がお金の管理です。
- 資金の管理
- 正確な見積もり
- 住宅ローンの手配
- 補助金
お金に関わる部分は基本的に営業さんの担当部分!
値引きを引き出すコツ:気持ちよく値引きしてもらうにはどうする?
家を建てる側は、なるべく予算を抑えられた方が良いと考える人が多いのはもっともです。
予算を抑えるべく、気持ちよく値引きをお願いできる方法はあるのでしょうか。
値引き交渉のコツなどはあるのでしょうか?
相見積もりをして
「向こうがいくら値引きしてくれるから、お宅も値引きしてもらえないか」
のような、気に入って貰えているのかどうかわからない交渉をするよりも、
「どうしても御社で建てたいけど、当初の予算よりだいぶ高くて…うーん、どうしよっかなぁ…」
といった感じでしょうか
当初の予算より400万円離れていたとして、200万円ずつ歩み寄るくらいの気持ちを引き出せるかどうかです。
値引きというより、歩みよる気持ちにさせるという感じです。
小手先の駆け引きではなく、
「あなたのところで建てたいという気持ち」を伝えたり、
「相手を歩み寄る気持ちにさせるために、自分たちも歩み寄る」
これが値引きのコツですね!
逆に、「歩み寄るくらいなら、契約しなくて良いかなー(後が大変そうだし)」なんて思われたらダメということです
営業さんとは、契約後も住宅ローンや補助金関係でやり取りが続くもの。
お互いに気持ちよく、良好な関係を築いていくことが重要です。
値引きの仕組みを知っておこう
ここまでで、自分たちから値引きについて交渉しなければいけないということがわかりました。
次に、実際に値引き交渉をしていくために必要な、値引きの仕組みについて学んでいきたいと思います。
値引きのタイミングは請負契約時
実施したアンケート調査では、「値引きがあった」と回答してくれた人のうち8割以上の方が値引きのタイミングは請負契約時だったと回答しています。
実際に、元営業さん目線でも
請負契約前しか値引きされない、という仕組みの会社は多いですね
とのことでした。
裏を返せば、請負契約後に変更、追加した仕様については値引きがないということに。
値引きのタイミングは請負契約時!
値引き額を多くする方法とは
✅値引きのタイミングは請負契約の時
✅それ以降の追加や変更は値引きの対象外
ということは…
請負契約後に追加や変更が生じないように、極力請負契約前に間取りや仕様を確定したりオプションを追加しておく方が値引き額が多くなる可能性があるのかな?
これについてもお聞きしました。
値引きを約束する場合には、パーセンテージでの約束なのか、金額での約束なのかを確認しないといけません。
金額での約束ならば、請負契約までに極力色々と詰め込んで額を膨らませて請負契約を結ぶ方がメリットがあります。
パーセンテージで約束する場合は、着工までに金額が増えたら増える、減ったら減るということになると思いますので、契約前の値引き額にはあまり意味がないです。
金額での値引きの場合は、請負契約までに極力色々と詰め込むことで値引きが大きくなる。
パーセンテージの値引きの場合は、請負契約というタイミングでの値引きにこだわる必要がない。
値引きしてもらいやすい時期
住宅会社にとって、値引きしやすい時期はあるのでしょうか。
いわゆる決算日や締め日などは、お得になる可能性があると思います。
基本的にはどこも営業会社ですから、決算など締め日に向けて営業努力をしています。
決算を基準に、去年よりも受注成績が良かったかどうか、他社と比べて受注状況かどうかといった評価をされます。
決算日は、全く気にしないかといったら噓でしょう。
ただし、こんな注意点も。
ひと昔前は強引に月末や決算に押し込むようなことがあったものの、最近はローンの審査を終えておいたり、間取りを固めたりなど、事前にきちんと煮詰めて契約いただけているかどうかを評価するようになってきています。
その分、高額な値引きは期待しにくいでしょう。
✔とりあえず、仮契約しましょう!
✔契約後でもどうにでもなりますから、大丈夫です!
こんな誘い文句は要注意!
昔は、「土地も決まっていないし、間取りも作っていないのに契約決めてもらっちゃったぜ!」というようなことを武勇伝にする営業マンもいたそうです。
けれど、そういう形で契約をしても、その後にトラブルが生じ解約や着工延期になってしまう可能性が高まる場合もあるのだとか。
今は昔に比べてやるべきことをやって契約する正しい仕事ぶりが評価されるようになっていると思います。
傾向としては、ローコストメーカーほど勢い重視です。
決算日前には値引きしてもらいやすくなる可能性がある!
ただし、時期を焦って「とりあえず契約」のようなやり方では後々トラブルになることも。
勢いに任せず、しっかり検討、そして納得して契約することが必要!
現金値引きとオプションサービス、受けやすさに違いはあるのか
アンケートの回答では、「現金値引きではなく設備やオプションサービスをしてもらった」という声が多いという結果に。
✅現金値引き
✅設備やオプションのサービス
これらはどちらがお得なのか?どちらが受けやすいのか?といった点を伺いました。
金額的な損得は変わりません
一般的に値引きは上限が決まっています。
その枠内の同額の値引きであれば、物品でも金額でも効果は同じです。
物品だから所定の枠を超えて良いというケースも考えにくいでしょう。
ただし、例えば「食洗機をプレゼントする」と言われていた場合、後になって「食洗機を取止めて現金で還元にしてください」というのは難しいケースが多いとのこと。
最初から現金で値引きされていれば、後々の打ち合わせの中で何に使うかは自由です。
ですから、同じ金額であれば物品より現金で約束されていた方が得(というか自由)といえるかもしれませんね
現金値引きでも設備やオプションのサービスでも、金額的な損得は変わらない。
ただし、現金値引きの方が融通が利きやすく自由度が高い。
担当者の役職によって値引き額は変わるのか
担当の営業マンが新人か、店長かなど、立場の違いによって値引きの額は変わるのでしょうか。
原則、会社のルールは一律ですので値引き率は変わりません。
ただし、決裁権があるかどうかは変わるので、末端の担当では「自分では判断できない」といわれるケースもあるでしょう
担当の役職に関わらず、値引きに関わる社内ルールは一律!
「良い住宅営業」の定義とは。値引き額だけで測るのは危険
「一生に一度」といわれる住宅購入を出来るだけお得にと考え、「沢山値引きしてくれる営業マン=良い営業マン」と考える人もいるかもしれません。
けれど、
その考え方は危険かもしれません!
会社に値引きの制度があっても、値引きしない営業もいます
知識や経験が豊富で段取りの良い人気の営業は、値引きをしなくても契約を取ることが出来ます。
無理に値引き交渉をしてくるお客さんは後々揉める可能性も高いため、優秀な営業ほど無理な値引きは行わず、トラブルを避けるようにし営業しています。
逆に、安売りすることでしか選ばれない人気のない営業ほど、値引きに頼ることになります
このお話を聞くと、「沢山値引きしてくれる営業マン=良い営業マン」とは言い切れない、ということに。
むしろ、契約を取る手段が「値引きする」という方法しかない可能性もあるということになります。
沢山値引きしてもらい満足して契約したが、その後
✅住宅ローンや補助金関連の手続きがままならない
✅プロジェクトリーダーが頼りなくスムーズに計画が進まない
などということが起こり、結果的に不満を溜めたり建てた家に満足できない状況になれば、本末転倒です。
「良い営業マン」の定義は人それぞれ。
値引きのみに惑わされず、「本当にこの人と家づくりをしたいか」をしっかり考えることが必要です!
まとめ
注文住宅を建てる際に多くの人が受けている値引き。
ここまでに学んだことを、一気にまとめたいと思います!
まずは、値引きしてもらうためのコツやタイミングについて!
- 値引きは「言った人にしかしない」という仕組み=自分たちから値引き交渉する
- 値引き交渉のタイミングは詳細な見積もりが活字で出てきてから
- 値引きに関する権限を持つのは営業マン
- 値引きしてもらうというよりも、歩み寄る気持ちにさせるのがコツ!
- そのために、自分たちも歩み寄るという方法も
続いて、値引きの仕組みはこちら!
- 請負契約時が値引きをしてもらえるタイミングの場合も多い
- 値引きの約束が金額かパーセンテージかを確認する
- 金額での値引きの場合は、請負契約までに仕様を確定させておくことで値引きが大きくなる
- パーセンテージでの値引きの場合は、請負契約のタイミングにこだわる必要はない
- 決算日前には値引きしてもらえる可能性が高まる!
- ただし、時期を焦ってはダメ!しっかり検討し、納得してから契約を!
- 現金値引きでも設備やオプションのサービスでも、金額的な損得は変わらない
- ただし、現金値引きの方が融通が利きやすく自由度が高い
- 担当の役職によって値引き率は変わらない
そして、一番大事なのは
「沢山値引きしてくれる営業マン=良い営業マン」というわけではない、ということ
値引きに関する裁量を持っている営業マンは、注文住宅を建てるというプロジェクトのリーダー的存在。
いくら値引きに成功しても、プロジェクト自体が納得いかないものになってしまっては元も子もありません。
そういったことも頭に入れた上で、値引き交渉に挑んでください!
なぎまるさんに、値引きの裏側についてさらに踏み込んでお聞きしています!
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